給与明細を見るとたびに、給与の割に税金と社会保健が高いなぁと感じます。税金は所得税と住民税、社会保険は厚生年金と健康保険、雇用保険です。45歳以上65歳未満の人は介護保険も引かれています。
自営業の方は給与が無いので、自ら税金と社会保険料を支払います。社会保険のうちで大半の自営業の方が加入している健康保険は国民健康保険、年金は厚生年金ではなく国民年金(基礎年金)です。
国民年金は20歳以上60歳未満の方が加入します。「私はサラリーマンだから厚生年金しか加入していない」と思ってる方もいらっしゃると思いますが、厚生年金は国民年金の加入も兼ねていますので、年金がもらえるようになると厚生年金と国民年金(基礎年金)の両方が支給されます。
自営業の方が国民年金だけで老後の生活を送るには心もとないですが、かと言って加入しないのはもったいないです。
この記事では国民年金の加入は本当にトクになるのか解説します。
国民年金とは
「年金って将来のために貯金でしょ」思われている方もいますが、実際には保険です。ですので老後の年金支給だけでなく障害や死亡の際にも年金が支給されます。
国民年金には
- 老齢基礎年金
- 障害基礎年金
- 遺族基礎年金
があります。
では、それぞれ支給要件と支給額を見てみます。
老齢基礎年金
老齢基礎年金は、65歳以上になると支給され生涯支払われます。一般の保険感覚で説明すると、保険料の払い込み期間が60歳で満期を迎え、今まで納めていた金額に応じて年金が支給されるイメージです。
老齢基礎年金をもらうためには年金の保険料を10年間以上納める必要があります。
保険料の全額免除期間や学生で保険料の支払いを猶予されている期間については、10年間の納付が必要な期間にカウントされますが、実際には保険料を納めていないため年金の支給額が下がります。
気になる年金額は780,900円×改定率※×保険料納付月÷480月です。満額だと年間780,900円×改定率で月65,000円ほどです。※改定率は物価変動率や実質賃金変動率などを基準に毎年度改定されます。
40年間(480月)保険料を払い込むと満額の老齢基礎年金が支給されます。もし20歳から60歳までの間で30年間(360ヶ月)しか保険料を納付していなかった場合、老齢基礎年金の支給額は次の計算式のとおり未納分が減額されて
780,900円×360÷480=約585,600円(改定率は1で計算)
となります。月々の年金額は48,800円ほどです。
障害基礎年金
障害基礎年金は、保険料を納めている人(被保険者)が怪我や病気で障害等級1級または2級に該当した際に支払われます。
障害年金の支給要件には以下の3つを全て満たす必要があります。
- ①初診日要件
- ②障害認定日要件
- ③保険料納付要件
①初診日要件は、初めて医師の診断を受けた日において被保険者であること。または被保険者だった人で日本国内に住所を有し、60歳以上65歳未満であること。
②障害認定日要件は、初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日、またはその期間中に傷病が治った日(いずれも障害認定日と言います)において、その傷病により障害等級1級または2級に該当していること。
③初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合はその期間に保険料の納付済期間と保険料の免除期間(学生で免除の手続きをとっている期間など)の合計期間が被保険者期間の3分の2以上あること。
③は「初診日の前日において」がポイントで、これは保険料を納付していない人が診察を受けてから慌てて遡って保険料を支払っても障害基礎年金の対象にはなりませんよってことです。保険料の支払いが難しい場合はきちんと免除の手続きをしておきたいですね。
年金額は1級と2級で差があります。2級は老齢基礎年金と同額ですが、1級はその25%増しです。また障害基礎年金を受給される方に18歳になった後の最初の3月31日までにある子供(高校卒業までの子供と考えると分かりやすいです)がいる場合、または20歳未満で障害等級(1級か2級)に該当する子供がいる場合は以下の額が加算されます。
2人目までは1人あたり224,700円×改定率
3人目から1人あたり74,900×改定率
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、年金に加入して保険料を支払っている人が亡くなった際、その方の遺族に支払われる年金です。遺族の範囲は配偶者または子です。
遺族基礎年金が支払われるためには、以下2つの要件を満たす必要があります。
- ①死亡日要件
- ②保険料納付要件
死亡日要件は、死亡日において以下のいずれかの要件に該当する人です。
- 年金の被保険者
- 被保険者だった人で日本に住所がある60歳から65歳未満の方
- すでに老齢基礎年金をもらっていて保険料納付期間と免除期間の合計期間が25年以上ある方
- 老齢基礎年金はもらってないけど保険料納付期間と免除期間の合計期間が25年以上ある方
保険料納付要件は障害基礎年金の保険料納付要件と考え方は同じで、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合は、その期間に保険料の納付済期間と保険料の免除期間※の合計期間が被保険者期間の3分の2以上あることです。※学生で免除の手続きをとっている期間などです。
年金が支払われるのは配偶者または子ですが、配偶者に支払われるのは生計を同じにしている子供がいることが要件です。もし子供がおらず残された遺族が配偶者だけの場合は遺族基礎年金は支払われません。
子供の範囲は障害基礎年金と同じく、18歳になった後の最初の3月31日まで、または20歳未満で1級または2級の障害等級に該当している子です。
年金支払いの趣旨からいうと子供が成人するまでの国からの養育支援といった意味合いが強いかと思います。
年金額は老齢基礎年金と同じ計算方法です。加算額は障害基礎年金と少し違っていて
子のいる配偶者は2人目まで1人あたり224,700円×改定率、3人目からは1人あたり74,900円です。
遺族が子供だけの場合、1人目に780,900円支給され、2人目に224,700円、3人目からは1人あたり74,900円支給されます。
老齢基礎年金は何歳で元がとれる⁉︎
65歳から障害もらえる老齢基礎年金ですが、払い込んだ保険料の元がとれるのは何歳からでしょうか?20歳から60歳まで40年間(480月)、全て保険料を納付した場合で考えてみます。
改定率を無視して保険料を17,000円、老齢基礎年金を満額の780,900円とすると保険料の総支払い額は17,000円/月×480月=8,160,000円です。
毎年780,900円の年金がもらえるので保険料の納付総額を年金で割り戻すと
8,160,000円÷780,900円=10.5
ですので、約10年と6ヶ月で元が取れます。年金は65歳から支給されるので75歳と6ヶ月を超えると毎年780,900円がもらいトクになります。この歳からは生きてるだけで丸もうけの年齢に突入です。仮に75歳6ヶ月から10年間、老齢基礎年金をもらうとすると支給総額は15,618,000円。驚異の利回り96%!もう(笑)です。
まとめ
さて、国民年金いかがだったでしょうか。投資と考えても悪く無いレートだと思います。冒頭に申した通り、基礎年金だけで生活するには心もとない金額ですが一生涯安定的に入ってくる収入です。老後の生活設計の基礎を担うことは間違いありません。年金を正しく理解することは将来の生活設計のはじめの一歩と言えるのではないでしょうか。
何歳まで会社に勤めるか、はたまた一念発起で起業するか、資産運用で乗り切るのか人それぞれですが、未来の自分や家族のためにお金のことを考えることも大事です。一生笑顔で生活するためにお金の勉強もしていきましょう。